分子標的ワクチン療法Molecular Targeted Vaccine Therapy
海外で効果が立証された最新ワクチン療法。
体内でがん抗原を攻撃する抗体を作るので低侵襲かつ効果の持続が期待出来る。
ゲノム医療に基づき、効果が期待出来る患者様のみ治療をするので高い効果が期待できる治療方法です。
分子標的ワクチン療法とは
米国のオハイオ大学のカウマヤ教授らが、がん抗原に対する抗体を体内で作り出すことを可能にする分子標的ワクチン療法の開発に成功しました。
簡単に言うと体内で分子標的療法と同じがん抗原をターゲットにした治療方法ですが、体内で抗体を作ってがん抗原に攻撃するため、副作用が少なく体に優しいことや効果の持続性が長いことなどが特徴になります。
オーストラリア、アメリカ、フランス、イギリスとの提携が生んだ治療
イギリスのエジンバラの研究所でワクチンタンパクの作成、フランスのバイオベンチャーの協力でそのワクチンの効果を高めるアジュバンドの作成を行っています。オーストラリアのバイオベンチャーイミュジーンとの提携により、アメリカで行われた治験の結果を参考に日本で治療を行うことが可能になりました。
日本で治療を受けれるようになった経緯
アメリカでの治験の結果を見て、少ない副作用で高い効果が出ている治療を是非日本でも行いたいと思い調べたところ、現在、世界各国で認可に向けた治験を続けていますが、日本では認可に向けた治験を行ってませんでした。なので、この治療を受けようと思うと海外まで行く必要がありました。イミュジーンとの提携で日本国内のクリニックで臨床研究の形で治療を受けることが出来る様になりました。
HER2をターゲットとした分子標的ワクチン
国でターゲットとして推奨されている遺伝子は100種類以上となります。その中でも受容体チロシンキナーゼファミリーに属するHER2は数あるターゲットの中でも注目が高いターゲットで、保険認可されている分子標的薬の中でも効果が高い治療薬として知られています。
がん抗原HER2をターゲットに選んだ理由
EGFRをターゲットして使われているイレッサやタグリッソ、タルセバ、ジオトリフといった分子標的薬は肺がんで保険認可されており、HER2をターゲットとしたハーセプチンやパージェタ、エンハーツといった分子標的薬は乳がん、胃がん、食道がんなどで保険認可されています。
分子標的薬の中でも効果が高い薬ということで知られています。
期待出来る効果
HER2に対する抗体が患者様の体内で作られると、HER2 はEGFR、HER3、HER4とヘテロダイマーをつくることが出来ず、細胞周期や細胞分裂を促進するシグナルを送ることが出来なくなり、がんの浸潤・転移が抑制されます。
また、がん細胞の表面に発現しているHER2にくっついた抗体に免疫細胞がくっついてがん細胞を死滅させます。
Wの効果
2種類のワクチンを同時に使用することで、ハーセプチン(トラスツズマブ)とパージェタ(ペルツズマブ)の結合部位に作用する抗体を産生。
Wの効果が期待出来る。
高い持続効果
従来の動物などからの抗体での投与ではなく、自分の免疫が抗体を作ることでがんの縮小を期待する治療なので、耐性を持ちづらく、アメリカの治験では40か月以上も効果の持続が確認されているデータもあります。
参考:Kaumaya PT. B-cell epitope peptide cancer vaccines: a new paradigm for combination immunotherapies with novel checkpoint peptide vaccine. Future Oncol. 2020; 16: 1767-1791. doi: 10.2217/fon-2020-0224.治療実績
分子標的ワクチン療法のHER2ワクチン(3回/1クール)を受けたがん患者様を対象とした治療実績をご紹介します。
アメリカでの治験(Phase 1)の結果
以下の条件を満たす患者様についての結果。
(耳下腺がん、食道がん、肺がん、腹膜がん、 結腸がん、直腸がん、肛門がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん)
1.浸潤性の悪性固形腫瘍があり、手術、細胞障害性抗がん剤治療、免疫治療、ホルモン治療、 放射線治療等過去の治療から3週間以上経過していること。
2.各臓器が適切に機能していること。
判定基準
腫瘍の大きさ(SPD)の変化率
※ワクチンの投与前、もしくは初めの投与から71日後に測定
A 著効(がんが縮小)
B 不変(がんの増大を30%以内)
C 進行(30%以上増大)
ワクチン 投与量
1回のワクチンにおいて、ハーセプチン結合部位ペプチドおよびパージェタ結合部位ペプチドをそれぞれ1mgまたは1.5mg投与した場合(16人)の結果
A 著効 | B 不変 | C 進行 |
---|---|---|
4人 | 11人 | 1人 |
治療有効率:93.75%
副反応
米国における PhaseI 臨床試験を受けた 49 人のがん(耳下腺がん、食道がん、肺がん、腹膜がん、 結腸がん、直腸がん、肛門がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん)患者について以下 の副反応が報告されています。
副反応 (患者数 %) | グレード 1-2 |
グレード 3-4 |
総数 |
---|---|---|---|
リンパ節の痛み | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
疲れ | 4 (8%) | 0 (0%) | 4 (8%) |
発熱 | 2 (4%) | 0 (0%) | 2 (4%) |
感冒様症状 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
注射部位反応 | 12 (24%) | 0 (0%) | 12 (24%) |
アレルギー反応(軽度の低血圧、発汗) | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
アラニントランスアミナーゼ上昇 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
アルカリフォスファターゼ上昇 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
リンパ球減少症 | 2 (4%) | 0 (0%) | 2 (4%) |
白血球減少症 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
低アルブミン血症 | 2 (4%) | 0 (0%) | 2 (4%) |
低ナトリウム血症 | 2 (4%) | 0 (0%) | 2 (4%) |
低リン血症 | 0 (0%) | 1 (2%) | 1 (2%) |
注射部位の痛み | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
筋肉痛 | 2 (4%) | 0 (0%) | 2 (4%) |
皮膚乾燥 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
皮膚の痛み | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
かゆみ | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
斑状丘疹状皮疹 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
皮膚および皮下組織障害 | 3 (6%) | 0 (0%) | 3 (6%) |
皮膚潰瘍 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
血腫 | 1 (2%) | 0 (0%) | 1 (2%) |
2.Bekaii-Saab T. et al. Phase I immunotherapy trial with two chimeric HER-2 B-cell peptide vaccines emulsified in Montanide ISA 720VG and nor-MDP adjuvant in patients with advanced solid tumors. Clin. Cancer Res. 2019; 25: 3495-3507. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-18-3997.
3.Graus-Porta D. et al. ErbB-2, the preferred heterodimerization partner of all ErbB receptors, is a mediator of lateral signaling. EMBO J. 1997; 16: 1647-1655. doi: 10.1093/emboj/16.7.1647.
4.Kinugasa H. et al. Droplet digital PCR measurement of HER2 in patients with gastric cancer. Br. J. Cancer. 2015; 112: 1652-1655. doi: 10.1038/bjc.2015.129
分子標的ワクチン療法を受けるには
分子標的ワクチン療法は、ご自身の免疫の抗体を使ってがんを退治する治療方法です。
治療は通院で行います。事前検査、筋肉注射を3回と効果測定の5回による通院なので、患者様への精神的、肉体的負担も少なく、副作用も少ない治療になります。
現在、標準治療を受けている患者様でも、受けることが可能な治療方法になります。
基本的な治療の流れ
治療に必要なもの
特に必要ではありません。
※必須ではありませんが、診療情報提供書、血液データ、CTなどの画像データ、お薬手帳などお持ちでしたらご持参下さい。
治療の前に
患者様の体調を考慮して治療を行います。治療前に体調に異常や発熱などがある場合は、担当の医師に伝えて治療できるかどうかの指示を必ず受けてください。また、治療に受ける場合は患者様の同意が必要ですので印鑑をご持参ください。その他、準備可能な資料を治療説明の際にご持参ください。
治療の前に
治療は3回の注射で1クールになります(180万円+税)。その他に血液検査の代金等もかかりますので、事前に各医療機関にご確認下さい。
治療のご予約方法と流れについて
各医療機関に連絡し、「分子標的ワクチン療法の治療説明(IC)の予約を取りたいです」とお伝え下さい。
- 治療説明(要予約)
- 治療意思の確認
- 治療の予約
- 治療の開始
(3週ごとの注射3回) - 効果測定
その後、半年に1度のブースター注射も可能となります(60万円+税)。
ブースター注射をすることで、さらに長期間の治療効果の持続が期待出来ることになります。
ご予約・ご連絡先
総合予約案内
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日本国内で「分子標的ワクチン療法」を提供している医療機関です。
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